富岡市・おかって市場がリニューアル。「食」を通してつながる拠点に

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市根井 編集者/ライター

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インタビュー

大正期に建てられた「繭の乾燥場」を改修して、富岡市の中心市街地の活性化、生活基盤の整備、地産地消の推進を主な目的で企画された店舗です。市内を中心に近隣農家が80軒ほど登録しており、その農家さんがつくった地場の新鮮な野菜が常時10~15種ほど並ぶ他、お肉、お魚、県内外から厳選して集めた調味料や加工品なども揃った街のスーパー。

それ以外にも、施設全体を利用して開かれるマーケット「動楽市」や、「月一マルシェ」「春のパンまつり」といったイベントも定期的に開催しており、地域内の交流と県内外から沢山の人が富岡に足を運ぶきっかけを、駅前から提供し続けている。

「何もない」と言われた街で10年、人・物・食の関係性が生まれるスーパー「おかって市場」の歩みとこれから
完成した新店舗
スタイリッシュな空間に選びぬかれた食料品や雑貨が並ぶ

おかって市場は上州富岡駅と富岡市役所の間、「富岡倉庫」と呼ばれる1000坪ほどの敷地の中にあります。そこに佇む4棟の建築のうち、以前は「繭の乾燥場」である木造建築を店舗にしていました。

そして移転先に選んだのは、向かい側の「3号倉庫」。改装には2年以上の期間をかけたといいます。

店舗に入ってすぐ目に入ってくるのは、富岡製糸場の耐震補強にも使われているという、糸のような炭素繊維。もともと存在する梁をそのまま使いたい、かつ奥へ抜けるような空間を作りたい……。そんな思いを実現するための方法として採用されました。

設計は、富岡市役所も手掛けている隈研吾氏。隈氏が「あやとりのイメージ」と表現する通り、店舗の天井にはしなやかで頑丈な糸が張り巡らされています。

おかって市場は2009年のスタートから「中心市街地の活性化」「生活基盤の整備」「地産地消の推進」の3つをテーマに活動していますが、今回のリニューアルをきっかけに加わったこともあるそうです。

「ひとつは、若い作家の発表の場としても使ってもらいたいということ。これまでイベントでクラフト作家さんに出展してもらったことはあったけど、今はギャラリーとして店舗に作品を置いてもらえるようになりました」(高橋さん)

「あとは、ずっと考えていた食育の分野が進められるようになったのも大きいかな。『食を通して地域とコミュニケーションが取りたい』と考えて、カフェスペースにオープンキッチンを作ったんです。そこでは季節に合わせて生姜漬け体験や発酵調味料づくり体験などのイベントを開催しています。クリスマスに向けたケーキづくりイベントは、予約がすぐに埋まってしまうほど人気です(笑)」(高橋さん)

「食」を媒介したコミュニケーションの場となっているキッチンスタジオ

栽培技術の進化により、一年中、あらゆる野菜が食べられるようになりました。しかしその副作用として、「旬の野菜や料理がわからない」という人が増えているのも事実です。

野菜や果物は、負荷のかかっていない旬の時期に食べるのが一番美味しいんですよ。栽培にかかる余計なエネルギーもかからないから、良いこと尽くめなんです」(高橋さん)

約10年間の役目を終えた旧店舗

「何もない」と言われていた街に、外部から来てくれる人を増やしたかった。高崎市や前橋市などの人口が多い中心地から遠いイメージのある富岡市が、実はそこまで遠くない、近い場所であるということを再認識してほしかった……。

富岡の地で、動楽市などのイベント開催も並行しながら活動した10年間。高橋さんの思いは確実に届いているようで、移住者も増えているそう。

ますます地域に根付き、コミュニケーションの拠点となっていく、おかって市場。平日は、高橋さんが直接声をかけて調理をお願いした方によるランチも提供されています。

■住所:〒370-2316 富岡市富岡1450
(※富岡市役所の前。上信電鉄 上州富岡駅から3分)
■営業時間:9:00~19:00(日曜日は17:00閉店)
■年中無休:1月1日~3日はお休み

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