身近な絶景を撮りに出かける1dayフォトトリップのすすめ‐深緑と夏空が眩しい梅雨晴れの甘楽・富岡編

武井仁美のプロフィール写真

武井仁美 まちの編集社スタッフ(株式会社まちごと屋所属)

Photo by寺居和美

コラム

春のステイホーム期間から徐々にお出かけしやすくなった2020年6月下旬。あえて雨の景色を撮ってみようと、あじさい狩りフォトトリップを計画したものの、日頃の行いが良すぎた?せいか、梅雨の晴れ間の上天気。という訳で、どんどん鮮やかさを増す夏の色を捕まえるフォトトリップに路線変更して出発しました。

桜の時季に甘楽小幡でのフォトトリップ記事を計画していましたが、 ちょうど新型コロナウイルス感染拡大の状況が急変した時期と重なり、複数人のスタッフでの春のフォトトリップは断念しました。季節は夏となり、感染には十分注意しつつ工夫を重ねながら日常を取り戻していくムードに移ってきたように思いますが、まだまだ今まで通りとはいかないので、感染予防の徹底や密を避ける行動はこれからも守らなければなりません。

こんな時は、「誰もが知る人気スポットではないけれど、日常からちょっと足を伸ばせばそこにある自分だけの絶景探しを楽しみましょう。」という提案であるつぐひフォトトリップ的なおでかけをしてみませんか?もちろん今回の私たちの旅も、あなたも一緒に行った気分で楽しんでもらえれば幸いです。

花咲く宝積寺で
朝のあじさいフォトシュート

宝積寺 甘楽町轟774

お寺での静かな朝時間を狙って早めに出発。雨の翌日ならではの澄み上がった空と山とが水田に映る、瑞々しい夏の国道254号バイパスを走ります。〈福島北〉の交差点を曲がり城下町の風情を残す小幡の街並みを抜けると徐々に山々が近づいてきます。見晴らしの良い山の中腹にあるのが、”花の寺”とも呼ばれている宝積寺です。

朝9時前からすでに陽射し眩しく、今日は彩り際立つ写真がたくさん撮れそうです。ところで、せっかくの綺麗なあじさいが上手く撮れないのが私の悩みの種。何だか全体的にぼんやりしちゃうんです。
すると、フォトトリップ撮影担当・寺居さんから「たくさんの花の中から、”これ”っていうお気に入りの花を決めてから捉えるといい写真が撮れますよ。」とアドバイス。なるほど。

夏の陽射しでコントラストがくっきり

宝積寺は、宗派の垣根を越えた花木による心安らぐ場所作りを目指す関東一円のお寺ネットワーク「東国花の寺百ヶ寺」の中の群馬第四番札所に選ばれていて、“ 1年中花の咲く寺 ”を目指して地元の方との植樹活動や募金によって美しくあり続けているそうです。(境内に募金箱もあるのでぜひ!)
本堂の建物も見事なので、お寺ファンのかたはこちらも必見。また現在は、時節柄にあわせて御朱印やお守りは非対面式でのお渡しで対応してくれています。

小さな新しいあじさいの株も所々に植わっていて
来年も再来年も楽しみ

予想外の大冒険!
苔むす長厳寺と連石山の石仏巡り

長厳寺 甘楽町小幡1926

来た道を5分ほど戻り、リンゴ園のところで左に曲がり雄川の向こう岸へ。続いてやって来たのは連石山のふもとにある長厳寺です。ここでは不思議な美しさを放つ苔むす景色をカメラに収めたいと思います。

山を背に建つこのお寺は、かつては山で修業を行う人のための修験道場でもあったそうで、しっとりとした木陰に覆われた山門は質素な清らかさに溢れています。先ほどの陽射し降りそそぐ宝積寺とは好対照でどちらも美しいです。

お寺の裏山には大きな磨崖仏(自然の岩壁に掘られた仏様)や三十三体の観音様が鎮座しているとのこと。もっと心洗われる苔むす景色を拝みたい、と本堂の裏に回ってトレイルコースとして整備されている連石山に行ってみます。

何となく導かれるように「清心のみち」へ

石と名の付くこの山からは、明治時代に大小4,000本もの石材が切り出され、世界遺産・富岡製糸場の建設に使われました。まさに日本の絹産業を下から支えた場所だったわけです。山のある地域とは別ですが甘楽町には“造石”という地名もありますし、昔からこの地は良質な石の宝庫だったようです。このトレイルコースもお寺の裏からしばらくは石積みの道が続き、登るごとにかっこいい岩壁が次々と顔を見せてくれます。

しっとりした夏の森、気づいたときにはすでに遅し…忘れていました蚊対策!雨あがりということもあり蚊の大群もトレイルの仲間に加わってしまい、10カ所以上は蚊に刺されたかな…。みなさんは必ず虫よけ対策を万全にしてお出かけくださいね。
さて思い出して痒くなりながら(これぞフォトトリップ笑?)、草木生い茂りまくりの狭い山道を登ります。足元に用心して進んでいると急に開けてきて、ふと目の前を見上げたら!

つい「ラスボス登場」と書きたくなる迫力と異世界感

お目当ての磨崖仏がさっそく登場です!でかい!!
高さ10m・幅8m・奥行2mもあるこの摩崖仏は、昭和54年から6年かけて仏教彫刻に深い関心を持った吉田文作さんという方が彫り上げたもの。顔だけの大きさなら完成当時は日本最大だったと言われています。歴史は浅いかもしれませんが、一心に岩壁に向き合い彫り上げた吉田さんの並々ならぬ情熱が宿っているからか、パワーが満ち満ちている感じがします。そして、夏の雨上がりのむわっとした草いきれや森の生命力も写真から伝わるでしょうか?どこかの南国の熱帯の森にいるような、異世界に入り込んだような感覚も味わえました。

折角なので道すがらの石仏にご挨拶をしながら山頂の達磨石まで行ってみましょう。私は軽い気持ちで街仕様の普通のスニーカーで来てしまいましたが、本当なら軽めの山歩きの装備が良いと思います。山頂を通り抜ける爽やかな風でリフレッシュしたら、来た道を戻り途中の標識から「無心のみち」へルート変更。引き続き苔むす景色を探してみます。

この日の私的ベストワン苔

無心のみちのゴールは、先ほどより北側の尾根にある山頂展望台です。 標高265mから甘楽の街並みや西上州の山々が一望できます。この時季はまだやわらかな新緑も残っていて緑のグラデーションが目にも爽やか。雄川沿いの桜並木も見下ろすことができるので、四季折々で違った眺めが楽しめます。下山するまで全行程ゆっくり歩いて約1時間半、日常のすぐそばにある素敵な登山体験でした。皆さんは虫よけ対策と山歩き装備でお出かけくださいね…!

甘楽×イタリアを味わう道の駅
ここだけの絶品石窯ピザでランチ

道の駅 甘楽  甘楽町小幡444-1

photo by 武井

予想以上にいい汗かいたので、美味しいものが集まる道の駅でしっかりエネルギーチャージ。甘楽町はイタリア・トスカーナ州のチェルタルドという街と姉妹都市になっていて、道の駅では甘楽とイタリアの食が融合するここでしか味わえないピザが評判。テイクアウトでも楽しめます。香ばしい匂いのする先に、甘楽町の印とチェルタルドの紋章が描かれた石窯を発見。地粉のうまみがつまったピザ生地を高温・短時間でカリッともちっと焼き上げていきます。

上:ポテトとモッツアレラ、フレッシュトマトとモッツアレラ
各1,000円
下:轟みそピザ 950円

いち推しは、昔からの製法を守り続けているこの地域の味噌を使い、チーズと発酵ドリームチームを組んだ『轟みそピザ』です。味噌を作っている轟地域は朝行ってきた宝積寺のあたり。麦麹のつぶつぶ食感も楽しい風味豊かな味噌です。この時季に降る“麦雨”とも呼ばれる雨が、毎年甘楽に豊かな実りをもたらしてくれていま美味しいピザを味わえていると思うと、梅雨も嫌ではなくなります。

photo by 武井
毎月20日はお得なワイン割引イベントを開催

チェルタルドから直輸入したオリーブオイルやトスカーナワインも買うことができます。エクストラヴァージンオリーブオイル『ボッタッチョ』は、驚くほど旨味のつまったオイルなのでシンプルにパンにつけて味わうのがおすすめ。この時季なら素麺と夏野菜をハーブソルトの味付けでオリーブオイルをたっぷり絡めていただくのも美味しそう。そして今回買ったワインは『トスカーノ・ロッソ』という地域限定の赤ワイン。軽くなめらかな味わいで、どんな食事とも相性が良さそうです。

あじさいの森にうっとり
大塩湖でひと休み

大塩湖  富岡市南後箇1970

手漕ぎボートやペダル式白鳥丸の貸出も

午後はおとなり富岡市のあじさいスポットに行ってみましょう。甘楽の道の駅から西へ向かい県道193号下仁田小幡線を10分ほど行くと、群馬サファリパークの先に大塩湖があります。2,000株のあじさいが植えられていて、特に南側の湿生植物園エリアは湖上に架けられた木道の先にあじさいの大群生があります。斜面いっぱいに咲くあじさいを見上げたり、小高い丘から見下ろしてみたりと、目の高さだけでない色々な角度から愛でることができるのはここならでは。

夏の陽射しは色を鮮やかにするのと同時に影もさらに美しくしてくれます。ヨーロッパのおとぎ話の中に迷い込んだような、ふわふわと不思議な気持ちになるあじさいの森が広がる湖のほとりで、先ほどの磨崖仏とはまた違った異世界に入り込んだ気分を味わったのでした。

この日のベストフォルムあじさい。この夏咲き始めたばかりの瑞々しい姿を捉えることができました。トウモロコシのような形のトンガリあじさいなどもあるので、ゆっくりと午後のあじさい散歩をお楽しみください。

ところで、深まる夏の緑を眺めていると、食べたくなるのが”あれ”なんですよねぇ…

緑のグラデーションを楽しむ
日本茶専門店の利き抹茶ジェラート

茶フェ ちゃきち 富岡市一ノ宮264

左:日本茶利きジェラート5点盛り
右:抹茶利きジェラート5点盛り
各750円

というわけで、湖から富岡市街地へ車で15分、日本茶専門店・吉田園がお茶の魅力を様々な角度から伝えるお茶カフェ=茶フェで午後のティーブレイクです。抹茶の濃さを五段階とさらに上の『極』まで食べ比べできる利きジェラートにチャレンジします。
一段や二段はミルクジェラートにほんのり抹茶の香りという感じで、苦味が得意でない方やお子様も抹茶の良さを味わえます。三段は某高級カップアイスクリームくらいの食べ慣れた抹茶の濃さです。

+30円で極に変更可能
日本茶5点盛りには焙じ茶や玄米茶のジェラートも

口にして一拍おいたくらいにじわっと深みを感じて抹茶の濃さの違いがわかってきます。四段からは抹茶の醍醐味にどんどん迫り、五段まではじわりと後からきていた抹茶の深みが、極まで上りつめるともうファーストインパクトからガツン!別格の抹茶の世界が広がります。私は五段が一番好みでした。
ジェラートやお茶スイーツは持ち帰りもできます。

いつもフォトトリップから心に潤いをもらっていますが、今回はいつも以上に沁みわたり、ありがたさもひとしおでした。甘楽・富岡にもあなたの住む街にも、日常のすぐそばに身近な絶景がきっとあるはず。見つかったらカメラに収めて、今はなかなか会えない大切な人たちに届けてあげてください。

【おまけ①】苔むす石仏コレクション

図らずもジュリー被りになったお地蔵さんにほっこり

【おまけ②】今年の春の小幡の桜

今年は行けなかった春のフォトトリップ。撮影担当の寺居さんが単独で撮影してきてくれた写真がつぐひのSNSで公開されていますので、ぜひこちらも覗いてみてください。
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