ぐんまフラワーパークがリニューアルしてすごい場所になっているのを知っていますか?
1992年に前橋市柏倉町に開園した同パークは、2025年に「ぐんまフラワーパークプラス」としてリニューアルオープンしました。
何やらとても良いらしいとの噂を聞いて訪れてみると、園内全体が細部まで美意識を感じる上質な空間になっていて、「体験する」ことに重きを置いたアクティビティやプログラムがたくさん用意されていて、大人も子どもも一日たっぷり楽しめる場所になっていました。
この素晴らしさを、まだ知らない人がいるなんてもったいない!昔のフラワーパークの記憶しかない人も、一度も行ったことがない人も、ぜひ訪れてほしい!
本記事ではその魅力を、たくさんの写真とともにお伝えします。
花の中に「入る」ような体験を

筆者はかれこれ30年ぶりの来園。メインゲートの三角屋根に懐かしさと嬉しさを感じながらエントランスを通ります。新たに作られたトンネル通路の壁は、赤城の地層をイメージした版築仕上げ。そこから一気に視界が開け、パークの顔とも言えるメインフラワーガーデンが目の前に表れます。

メインフラワーガーデンは起伏に富み、場所によっては人の背丈ほどの高さもあります。植物と人との関係を、ただ「見る」だけの距離にせず、体ごとガーデンの中に入って、花と緑に囲まれる感覚を味わえるのがフラワーパークプラスの新たな特徴です。

多彩な花が咲くフラワーパークプラスの季節ごとの開花状況は、WEBサイトで公開されていて、一覧できる年間カレンダーもあります。訪れるたび、移り変わる景色と新たな魅力を感じてほしいです。特に、全国有数の産地である群馬のバラ、アジサイ、クレマチスはパークのシグネチャーフラワーとして力を入れています。

「花とあそぶ」体験が充実
花と自然を五感で楽しむ体験を至る所で味わえる、「Enjoy! 花とあそぶ」がパークの新たなコンセプト。園内でのアクティビティの中心地となるのがフラワーホールです。
中央には圧巻のフラワーシャンデリア!直径約5.5メートル、使われているのは六合村産のドライフラワーです。

実は、群馬は全国でも有数の良質なドライフラワーの産地。土地の特徴を引き出す空間作りを進める中でこのフラワーシャンデリアが生まれました。

フラワーパークプラスでは年間約100もの体験プログラムが用意されています。
アロマミストづくりや押し草花のボタニカルカードづくり、リースづくりなどはここフラワーホールスタジオが会場。カフェを併設しているので、ハーブティーやパン・スイーツなどを味わいながら楽しむことができます。

花摘みアクティビティも人気で、園内に生える季節の草花を自分で摘んで持ち帰ることができます。夏はラベンダー、秋口はコスモスなど、自分の手で色とりどりの花を摘むことができるのもフラワーパークだからこそ。こちらも参加の受付はフラワーホールです。
季節ごと、日ごとに本当にたくさんのアクティビティがあるので、WEBサイトのイベント・アクティビティのページをチェックして気になるものを見つけてください。

フラワーホールの2階はコワーキングスペースとしての利用が可能です。長いワークテーブルは園内で伐採されたトチの木を活用したもの。テーブル沿いのみずみずしいグリーンや、窓から見えるパークの景色も目と心を潤してくれます。(予約制、入園料と別途で1500円・ワンドリンク付き)。

ここに限らず、あらゆるところに素敵に花と緑が飾られていて、見つけるたびに心に嬉しさが貯まってゆくような気持ちに。もちろん造花はひとつもありません。小さな宝探し気分で楽しんでほしいです。

群馬の魅力を再編集
フラワーパークプラスでは、群馬にゆかりのあるものや群馬で生まれたものの良さを再発見して、レストランやマーケットなど園内の至るところで魅力を表現しています。

例えば、ミナモレストラン入り口のトンネルやテーブル席のランプシェードは、群馬の伝統工芸である竹皮編みの職人・前島美江さんに依頼したもの。前島さんが半年以上ここに通って制作したそうで、隙間なく編み上げる通常の竹皮編みとは異なる「よろけ編み」という技法で特別に編まれました。竹皮編みのぬくもりを通した木漏れ日のような穏やかな光が、訪れる人を優しく迎え入れてくれます。


奥の壁は、県内の民家解体で出た古材を県民参加ワークショップで張ったもの。また床には群馬県庁の食堂から出た卵の殻を混ぜ込んだ建材を使うなど、様々なクリエイティブ&サステナブルな取り組みが施されています。
レストランでは、群馬県産食材を使い、そのおいしさを引き出した、目にも楽しい小さな花壇のような料理が味わえます。時にはシェフが園内にある野菜の花畑で食材を収穫して、メニューに使うこともあるそうですよ。


ショップ「ミナモマーケット」も、時間をかけて見てもらいたい場所のひとつ。店内の什器やディスプレイに伐採木やコンクリート廃材などを使用していて、クリエイティブ&サステナブルな工夫がここでも随所に見られます。

アイテムは、フレグランスやコスメ、お茶やお菓子、手ぬぐいなどオリジナル商品のほか、スタッフ総出で群馬中を走り回って集めた、「ぐんまの逸品」も多数並んでいます。知名度や規模に関わらず、様々なイベントやお店まで足を運び、1年ほどかけて揃えたそうです。
群馬出身のスタッフさんでも「知らなかったいいものが、実はこんなに色々あるんだ!」と感動があったそうで、訪れる人にも同じように感じてもらえたら嬉しいとのこと。上質なローカルプロダクトが揃うセレクトショップとしても、じっくり見て回って楽しんでほしい場所です。


マーケット内の窓沿い上部にディスプレイされている白い糸の束は、群馬県産きびそ生糸。蚕が繭を作る時に最初に吐き出す部分で、太さが不規則で硬いため、織物には基本的に使われません。フラワーパークプラスでは、きびそ生糸の独特の魅力ある素材感が、素朴で上質な空間作りへ活かされています。
日本庭園エリアにあるテイエン茶房の壁にも、きびそ生糸の風合いが装飾に使われています。蚕棚などの養蚕道具も内装に使われていて、群馬の絹文化を感じながら郷土料理やお茶を楽しめる場所です。


ネイチャーポジティブを大切に
フラワーパークプラスの園内には、大きな大きな鳥の巣のように見える「バイオネスト」というものがひっそりと各所に設置されています。剪定で出た枝で巣のように丸く囲いを作り、その中へ落ち葉や草などを集め、しばらくすると腐葉土へと変わり再び園内の花や緑が健やかに育つ助けになります。園内のメンテナンスで出る葉っぱや草などをいわゆる「緑ゴミ」とせず、パークの中で循環させる仕組みです。

養分豊かな腐葉土があるバイオネストには、色々な虫が住み着くようにもなります。
パークの整備にはどうしても人間の手が入るので、ありのままの自然の姿を変えてしまうこともあります。そこで、このバイオネストのように動植物や虫が本来の生態系の営みができる場所を残す、ネイチャーポジティブ*な取り組みを実践しています。
*ネイチャーポジティブ:自然環境分野だけでなく、経済、社会、技術、政治などあらゆるの場面において、自然を回復軌道に乗せるために生物多様性の損失を止め反転させるアクションを行うムーブメントで、近年国際的に広がりを見せている。
園内の除草にもネイチャーポジティブを反映。温水除草による極力農薬を使わないメンテナンスに加え、水辺や菖蒲池など虫が集まりやすいところは、住みかとなるようにあえて草を残す箇所もあります。この取り組みが実を結んで、珍しい蝶や絶滅が危ぶまれる植物など、環境の変化に負けてしまいがちな生物がパーク内では営みを取り戻しつつあるそうです。

そうした生き物たちの様子を、自然観察会を開いて来園した人たちに見てもらうことで、ネイチャーポジティブの考えを広く知ってもらう活動も行っています。
先日は「バッタの住みかを作ろう」という子ども向けアクティビティが行われました。そのおかげでしょうか、パーク内で(ばったり)でくわした1匹のバッタは、人間を警戒することもなく、のびのびとガーデンの向こうに跳んでいきました。
細部にまで行き渡る作り手の想い
コンセプト「花とあそぶ」の世界観をパーク全体で表現するにあたって、大切にしている3つの軸があります。
- flowers & greens 花や緑に囲まれた心ゆたかな時間を届けること
- @GUNMA 群馬の魅力を再発見・発信する
- nature positive ネイチャーポジティブに積極的であること
イベントやアクティビティも、レストランやマーケットで提供するサービス・商品も、日々の運営のどんな小さな物事でも、この3つの軸に沿った「ワンチーム、ワンアクション」を合言葉に各チームが仕事を進めています。企画書を出す時には、3つのどの軸に当てはまるものなのか、必ず示した上で提案する決まりにもなっているそうです。
例えばレストランでは、紅茶を提供した時に出る茶殻をそのままゴミにせず、蒸留してアロマエッセンスに再利用してアクティビティにも活かす、といったアクションが生まれました。
大切な指針を共有しながら生まれる多様なアクションが、これからもフラワーパークプラスの世界観を豊かに育てていく。いつ訪れても楽しみが増えて、パークから持ち帰る心の潤いが、私たちの日常にたくさんのプラスをくれるはずです。


ぐんまフラワーパークプラス
群馬県前橋市柏倉町2471-7
営業時間 9:00-17:00
※最終入場30分前まで
※イベント期間中は時間に変更あり
入園料:大人900円、小中学生300円
※夏休み期間などは小中学生無料期間あり
www.flower-park.jp
